
24歳、結婚2か月、サービス業勤務。仕事も楽しくなり充実した日々を送っていた時のことだった。妊娠が発覚したのだ。早くに子供を産むことを希望していた私は喜びでいっぱいだった。
しかし、会社はそんな私を複雑な目で見ていた。勿論、私の体を考えてのことだろう。私は2年勤めた会社を退職することにした。出産までにはまだまだ時間がある。この通り、体も問題なさそうだ。気持ちは前向きだった。よし、仕事を探そう。この日から、妊娠した私のパート探しが始まった。
妊婦が就職することのむずかしさ
仕事を探し始めるにあたって、まず一番に考えたことは、「フルタイムの仕事は厳しい」ということだった。長年勤めた会社で理解を得ながら働けるのであればともかく、新しく妊婦を雇ってくれる会社は当然ながらまず存在しない。では何が出来るだろう…。私が考えたのは大きく分けてこの4つだった。
- サービス業のアルバイト
- 短期バイト
- 派遣
- チャットレディ
- 在宅ワーク
まず、私が一番に応募したのは、私自身が得意としているサービス業のパートタイムアルバイトだ。近くの飲食店2つと本屋1つ、そして雑貨屋1つに応募をした。結果は全て不採用。理由としては全てほぼ同じだった。「妊婦さんを雇うのは難しいです。」覚悟はしていたが全て不採用になった現実に、「普通のパートはなかなか採用されない」という思いを一層強くさせざるを得なかった。
短期のバイト、派遣の仕事も結果は同じだった。いくら短期といえど母体に何かあってはならない。そのリスクを背負って雇ってくれる会社はやはり少ないようだ。そしてこの頃から体に異変が起き始めた。つわりが始まったのだ。これによって外に働きに出るのはほぼ不可能になった。
在宅ワークという選択
では、家でできる仕事は何があるのだろう。調べた結果、チャットレディ・在宅ワークという文字が目に飛び込んできた。
チャットレディの仕事を見てみると、スマホがあれば簡単に稼げると書いてある。本当か?と思いよくよく調べてみると、チャットレディという仕事はアダルトなものが多々あるそうだ。スマホで電話、メールをするだけという謳い文句から登録をさせ、個人情報を抜き取ることもあるそうだ。これではだめだ。
では、在宅ワークというのはどんなものがあるのだろう。データ入力・コラム作成等と書いてある。ふむふむ…小さな頃から文章を書くのが好きだった私はこれならできるかなと思った。そこで調べだした一つのサイトがあった。それは、とんでもない悪徳業者だった。登録するとまず初期費用として、教材費・ヘッドマイク代・資格取得のための試験料全てを請求されるサイトだ。「これだけ揃えていただけるとバンバン仕事が入り、たくさん稼げます!」そんな甘い言葉で騙してくるのだ。
そんなサイトも多く存在するという現実を知り、信用できそうなサイトをたくさん探した。そうした中で、悪徳そうなサイトと違い、業務内容の細かな提示、また報酬の支払い方法などが詳しく記載されているライティングの仕事に出会った。チャットやメールで編集担当の方と相談し合いながら進めてもいけるので、サイト側の人となりもわかり、信用して仕事が出来そうだなと思い、仕事を始めることにした。妊娠中の私でもストレスなく(文章を書くのが好きな私にとってはむしろストレス発散になった)お金を稼ぐことができた。
私は稼いだ報酬で生まれてくる子供のためにベビー服を購入し、出産前に最後の二人旅の思い出を作りに旦那と温泉旅行に行く旅費の足しにすることにした。そう、この日から妊娠中の私の楽しい生活が始まったのだ。