
もしあなたが新社会人やその企業の新人で、メールで間違った言葉を使っていたとしても、親切な上司や先輩なら、面と向かって(または陰でコッソリと)注意をしてくれるかもしれませんが、誰も指摘してくれないのが現実です!
実際にトンチンカンなメールや失礼な表現があったりすると「ちょっと、これ見て~」と他の人に晒されていたり、はたまた失敗例として別の場所で取り上げられている可能性だってあるんです(まさしく、ここに出ているように!)
メールの表現一つで、知らないところで評価が下がっている、ってかなり怖い現実です。ここでは、ありがちな10の失敗例から、一緒に学んでみましょう。
失敗例1:メールの件名は短いほどいいんでしょ?
現代人は忙しく、業務メールのタイトルや返信相手から優先をつけて片付けていかなければ仕事がまわっていきませんね。特に朝一番のメールチェック時など、相手のビジネスシーンを想像して件名をつけましょう。
例1「案件1について」
誰からのメールなのか、なんの案件なのか、さっぱりわかりません。案件について、どうしたのかもメールの内容が件名から読み取れませんね。
「12/10送付済作業書の案件1に関する訂正 (○○部 後藤より)」
このように、自分が受け取り側だと考えて、メール整理をしやすいような件名を心がけるのが親切です。
例2:「山田さんへ 後藤より」
山田さんにメールしているのですから、先方の名前は必要ありません。内容がわかるタイトルを入れましょう!
例3:「打ち合わせのお願い/後藤」
これが社内ならまだしも、社外に送るメールであれば、会社・部署名も必要です。また、打ち合わせだけではぼやけていて、社会人なのか疑われてしまいます。
「契約に関する打ち合わせ依頼 / ○○会社 営業部 後藤」簡潔に大切なことを入れるのがポイントです。
失敗例2:返信記録を残したいから件名もそのまま
メールのやりとりを記録として残していくのは、ビジネスマンの基本ですが、件名をそのままにして返信を繰り返すと、内容がどんどんずれていく時があります。
例えば、一番最初のメールが「見積もり依頼」だったとしましょう。
受けた側が見積もりを添付して返信、でもやっぱりもう一度検討してほしい・・・
このままにしておくよりも、
「Re:見積もり依頼」
↓
「見積もり再依頼のお願い」
にしたほうがビジネスのやり取りがスムーズに行き、相手が間違えて放置してしまうことも防げます。
失敗例3:一番下に署名欄があるから、いちいち最初に名乗らなくてもよい
件名に自分の名前を入れたとしても、メール本文の一番最初に自分の名前を名乗りましょう。
一番下の署名というのは、《これは私が書きましたよ、何かあれば連絡くださいね》的なサインと同じです。
社内メールでは省略していいとしても、社外メールでは「いつもお世話になっております。○○会社 営業部の後藤です」などは必ず入れましょう。
失敗例4:社会人なんだからメールでも挨拶は大事!
・挨拶が長すぎて本文がぼやけている悪い例
「前略 貴社益々ご清栄の事と存じます。先日参加させていただきました講習会はわたくしにとって、とても実りのあるものとなり、内容も想像以上に素晴らしく時間を忘れてしまいました。講師の方も、私たちの緊張をほぐそうと冗談も混ぜながらのトークで、次回の参加も楽しみです。
さて、今回メールさせていただきましたのは、提出予定書類の中に数箇所わからない点があるからです。(本文続く)」
ビジネス文書として書面にするのとは違い、メールの場合は
- 冒頭に、内容の簡潔な箇条書きがある
- 読みやすい
- 内容のポイントが整理されている
- 周知・問題提議・要返答なのかが、明記されている
これらがはっきりとわかることが目的ですから、挨拶文は一行程度で十分です。
「平素お世話になっております」「この度はご尽力いただきましてありがとうございます」くらいにとどめて、本題に入ったほうが簡潔でスマートなビジネスメールを作れますね。
失敗例5:「この案件になります」
最近、この「~になります」がまかり通りすぎて、もはやコンビニ・ファミレス敬語が正しい日本語を侵食する勢いですが、ビジネスシーンでこの文章に出会うとがっかりします。他にもため息が出るような“思い込み敬語”を挙げてみました。
- 「以下の案件になります」 → 「以下の案件です」もしくは「以下の案件でございます」
- 「山田様が申されたとおり」→「山田様がおっしゃった通り」申す、は謙譲語で自分に使うものです
- 「お返事のほう、よろしくお願いします」 →「お返事、お待ちしております」~のほう、はNG!!
失敗例6:とにかくメール本文に詳しく書く
どれほどややこしい内容のメールであっても、せめてA4一枚に収まるくらいにとどめましょう。ましてや、それが自分の案であれば、読む相手の時間を割くわけですから、注意が必要。
- 事前にレポートとして提出します、と伝えてあるのなら、添付ファイルにしましょう。
- 提案をメールする場合は、ポイントを箇条書きにすることが好ましく、ただダラダラと書かれた自己中心的なメールは読む側の気持ちを萎えさせるものだと意識してください。
失敗例7:トラブルの内容を箇条書きにして相手にわかりやすく書いた
トラブルの場合、内容にもよりますが、メールは顔や声で意思の疎通が出来ないので、充分な注意が必要です。
相手に非がある場合は、直接会って話すのが一番ですが、その時間が取れない場合は電話でのアポイントを取る為のメールに留めておくのが、ビジネス・ルールというものです。
- 「先日頂戴した書面に、何箇所かお訊ねしたいことがありますので、明日午前中にお電話させていただきます」
- 「先だっての件、お客様から苦情を頂戴しております。出来れば直接お話をしたいので、ご都合の良い日をお知らせいただけますか」
これで、相手から「何がいけなかったのか、メールでもいいから知らせてほしい」という内容の返信があれば、勘違いや自分の主観を除いた内容を伝えてもかまいません。
失敗例8:期限設定のない「お返事お待ちしております」
- 悪い例その1 「見積書を添付しました。金額をご確認ください。お返事お待ちしております。」
- 悪い例その2 「ご応募いただきました案、仮採用となりました。つきましては添付書類に情報を記入して返信してください。ご回答をお待ちしております。」
悪い例には、「どの程度の返事が、いつ欲しいのか」が抜け落ちています。急ぐものか、時間をかけてほしいものかなどをはっきりと相手に伝えることも、メールでの礼儀です。
- 「以上の内容で検討いただき、出来れば明日中にご回答をお願いします」
- 「添付の資料に情報をご記入いただき、5営業日内に返信お願いいたします」
このように、重要度とリミットを相手に伝えることが大事なポイントです。
失敗例9:24時間以上経っているのに、自分が急いだから「取り急ぎ」
“取り急ぎ”という言葉を使ってよいのは、メールの到着時から長くて一日内だと思います。忙しくてメールを二~三日放置してあったら、それは自分に非があるので“取り急ぎ”ではありませんね。そういう場合は冒頭に「お返事が遅れて大変申し訳ございません」と謝罪の一文をつけるべきです。
逆に、メール受信から1時間などの短時間で、「内容に関して了解しました。詳細は明日またメールさせていただきます。取り急ぎ返信まで」と返信する場合は、相手も多忙なことを理解してくれるはず。
失敗例10:メールだから、結びは「以上。」でOK→×
いくらメールだからと言っても、最後くらいは人間らしさ、あなたと相手の関係を和らげるような一文をつけたいものです。特に普段顔をあわせることがあまりないような相手ならなおさらのこと。
- 「週末はどうやら雪になるようです。風邪など召されませんようご自愛ください」
- 「多忙な時期でお疲れのことかとお察しいたします。週末はゆっくりとお休みくださいね」
- 「追伸:先日いただいたお菓子、みんなに大好評でした!ありがとうございました。」
など、画面の前で難しい顔をしていたであろう相手がホッと頬をゆるめるような結びが出来れば、最高ですね!
とかく忙しいビジネスシーンでのメールのやり取りは、少しの言い回しの違いで、顔の見えないやりとりだけに誤解を生んだり、相手に悪い印象を与えてしまいがちです。それだけならまだしも、大切なメールが後回しにされたりしたら業務に大きな支障をきたしてしまいます。
自分がもらって好ましいメールというのは、ここにあげたような悪い例がないものだと思いませんか?
失敗例から学んで、業務の効率を上げて人間関係もスムーズに。ビジネスメールの達人を目指しましょう!