
インターネット環境の普及に伴い、「在宅勤務」を導入する動きが世界各地で広がっています。日本の在宅勤務というと、育児や介護などで外に働きに出られない方や副業として働く方が大半を占めていますが、他国はどうなのでしょうか。気になる世界の「在宅勤務」の状況について説明していきます。
アメリカでは42%が導入している「在宅勤務」
アメリカやインド、メキシコ、インドネシアなど在宅勤務を利用する国が急増しています。特に注目したいのがアメリカです。日本で在宅勤務制度を選択している人は約15%に対し、アメリカではなんと42%もの企業が在宅勤務制度を導入しています。この数字の大差に驚きですよね。また、インドやメキシコ、インドネシアにおいても約30%の人が定常的に在宅勤務を選択していると言われています。
日本においては、一部の企業で導入しているところもありますが、在宅勤務を選択する大半が女性です。育児や介護などで自宅を離れられない理由で在宅勤務を利用している方が多いようです。
日本と違いアメリカでは、在宅勤務利用者の約6割が男性と言われています。しかも多くがハードワーカーであるプロフェッショナルやマネジメント職です。より仕事の成果をあげるために柔軟な働き方ができることから、在宅勤務を選択しています。また、彼らは会社でしか仕事ができない限られた時間では不十分だと感じているのです。そして仕事の効率化のため、完全な在宅勤務ではなく週に1~2回出社する契約をしている人が多い印象です。
在宅勤務を利用するメリット
在宅勤務を行うことで、どのうようなメリットがあるのか以下にまとめてみました。
- 通勤時の満員電車に揺られる心配がないなど通勤による苦痛から解放される。
- 在宅だと電話や周囲から声を掛けられることなく、静かな環境で仕事に集中ができる。
- 8時間みっちり集中して仕事をすることで、残業なしで仕事が遂行できる。
- 仕事の効率が上がり、プライベートな時間が持てる。
- 人間関係のストレスから解放される。
- 自由な裁量で仕事を行える。
これらのことがメリットとして挙げられますが、それに伴い専門的な知識の向上など今まで以上にスキルアップが求められることにもなりますね。
日本で「在宅勤務制度」を導入している企業は?
日本の在宅勤務はフルタイムで働くことのできない方向けといったイメージが強いですが、クラウドソーシングサービスのランサーズは在宅で働く人を支援する動きを見せており、一部の社員を在宅もしくは遠隔地で勤務させるといった取り組みをしています。外に働きに出られない事情があっても在宅勤務で仕事に貢献ができる人材が選ばれているケースが多いため、職場で働く社員より優秀な場合もあるとか。
他には、日産自動車やNTTデータ、損保ジャパン日本興亜、リクルートホールディングス、トヨタ自動車などが在宅勤務制度の導入を検討しています。
導入を検討している「トヨタ自動車」
国内で在宅勤務制度を導入している企業の一つである「トヨタ自動車」をピックアップして紹介していきます。在宅勤務制度を導入するにあたり、在宅で仕事をすることで「サボるようになるのでは?」という経営者の意見もありましたが、試験的に導入してみたところそのような問題はほとんど起きませんでした。
むしろ、業務効率化を図れるうえ、育児中や介護などを必要とする家庭にとって、社員にとってもメリットが得られると分析しています。よって外で働きに出られない女性にとっても働くチャンスを得ることができ、共働きの社員が増えることにもつながります。
現在は一定の勤務年数を経ている技術系と事務系社員のみを対象に終日の在宅勤務制度を導入しています。週1日2時間のみ出社が必要ですが、それ以外は終日自宅で仕事をすることができます。また、1歳未満の子どもをもつ家庭に限り在宅勤務を認めています。在宅勤務を拡充していくことで、柔軟な働き方ができることになり、優秀な人材確保と生産性向上を図る狙いがあります。
今後の日本に「在宅勤務」の時代はくる?
国内でも少しずつ在宅勤務の動きを見せるなか、政府は2020年までに週1日以上の終日在宅勤務をする割合を10%増やす目標を掲げているようです。
今後、在宅勤務制度を導入していく企業が増えると同時に今まで以上にプロ意識が必要になりそうですね。